カキの豆知識(カキはなぜ塩水で洗う?)

カキを使った料理のレシピを見ると、下準備として「カキを塩水で洗う」と書かれていることがあります。

なぜ水ではなく塩水なのでしょうか?

何気ないことですが、その理由を知るとカキを洗う作業が楽しくなるかもしれませんよ!


☆カキを塩水で洗うのはなぜ?

カキを海水の濃度と同程度の3%塩水で洗うと、浸透圧の関係でカキから水気が出ていくため、うま味を保ったまま汚れを取り除くことができると言われています。


浸透とは、塩分濃度の低い方から高い方に水が移動する現象で、こうした水の移動を調節する圧力を浸透圧といいます。

塩分濃度が高い溶液ほど浸透圧も高くなります。

人間が海水浴をしても体と海で水の移動がないのは、人間の体液と海水の塩分濃度が(そして浸透圧も)ほぼ同じだからです。


一方で、多くの海水魚の体液は海水よりも浸透圧が低く、常に体から水が出ていきます。そのため、魚は海水を飲み込み水分の量を保っているのです(塩分は濃い尿で排出します)。



図. 海水魚と淡水魚の浸透圧調節


話が少しそれてしまいましたが・・
カキは塩水で洗うとよいとされる理由には、こうした浸透圧の働きがあるのです。

ただし、
ひとつ注意しなくてはいけないことがあります!

全ての水産物を塩水で洗えばよいというわけではありません。

カキのノロウイルスと並び、水産物の食中毒の原因菌として有名なものに腸炎ビブリオがあります。この細菌は夏に海水中で増殖し魚介類に付着することで、食中毒の原因となります。

腸炎ビブリオは海水は好みますが真水には弱いため、夏場に魚介類を生食する際は真水で洗うと食中毒の予防になるとされています。


ノロウイルス腸炎ビブリオを含め、食中毒に関する情報は食品安全委員会HPで見られます。

家庭でできる予防のポイントは厚労省HPにも詳しく掲載されていますので、一度見てみてください!


それでも食中毒になってしまったら・・
下痢やおう吐が続いてしまった場合、水分補給には水ではなくミネラルが補給できるスポーツドリンク(子供の場合は薄めたもの)が良いそうです。

こうした対処法も普段から医師や薬剤師に聞いておくと、いざという時に心強いですね。


そのほか、カキの豆知識はこちら・・
・カキは加熱処理用より生食用の方が新鮮でおいしい?
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