しいたけの「原木」と「菌床」

秋の中頃ちょうどしいたけが旬の季節に、なぜだかベランダにしいたけがコロリと転がっていたことがあります。
ベランダには土も木もないし、一体どこから来たのか・・?いまだに謎です。


今回は、私たち日本人にとってなじみの深い食材であるしいたけに注目したいと思います。

スーパーなどでしいたけを選ぶときに、「原木」と「菌床」という表示を見たことはありますか?


しいたけには原木栽培と菌床栽培という二つの栽培方法があります。

・原木栽培:クヌギやコナラの原木にシイタケ菌を植え付け、屋外で栽培する方法
・菌床栽培:ぬかや水などを混ぜて固めたおが屑にシイタケ菌を植え付け、空調設備のある屋内で栽培する方法



写真.しいたけの菌床栽培(林野庁「きのこのはなし」より)


平成18年より、生しいたけ(生鮮食品)と乾しいたけ(加工食品)には、どちらの方法で栽培されたのかを表示しなくてはいけないことになっています。

二つの栽培方法により生産されたしいたけが混合されている場合は、重量の多い順に「原木・菌床」または「菌床・原木」と書きます。

林野庁HPによると、以前しいたけは原木栽培が主流でしたが、最近は菌床栽培が急速に普及し、平成19年度、生しいたけの総生産量における菌床栽培が占める割合は76%だったということです。


近くのスーパーで見たところ、生しいたけは4製品中に原木栽培が1製品、乾しいたけは6製品中に原木栽培が4製品ありました。
前述の林野庁HPにも、「乾しいたけは原木栽培で生産される」という記述があり、今のところ乾しいたけについては原木栽培のものの方が多いようです。この理由として、菌床栽培のしいたけは原木栽培のものに比べて水分が多く、乾燥させたときに厚みが薄くなってしまうということがあるようです。


ところで、2007年頃から植物工場の存在が広く知れ渡るようになりました。

しいたけの菌床栽培も植物工場のひとつであると言えますが、これらの普及の背景のひとつには、設備や装置に関する技術の発展があります。

植物工場は、自然環境に関係なく同じ品質の野菜が安定的に生産でき、虫などの混入がないことが特徴として挙げられます。


しいたけの菌床栽培についても同様のメリットがありそうです。

原木栽培のしいたけは自然環境に連動して生産量や品質が変わることがあるのです。そのため、菌床栽培のしいたけに比べて原木栽培のものの方が値段が高くなることがあります。

ただし、どちらの栽培方法についても、しいたけの品種と栽培技術によって品質は左右されます。


明日は乾しいたけの意外と知られていない豆知識をご紹介します!