本当の「梅干し」とは?


今回は梅干しのお話です。読むと梅干しが食べたくなるかもしれません。

テレビで、「これは100年ものの梅干しですよ」といかにも古そうなカメの中から梅干しをひとつ取り出す・・という場面を見たことがあります。
その梅干しはどんな味がすると思いますか?今私たちがスーパーなどで買って慣れ親しんでいる梅干しの味とは違うかもしれません。
実は、現在一般に売られている梅干しの多くは、農林水産省JAS法の上では、「梅干し」ではなく「調味梅干し」です。


梅干しは、容器に梅と塩を交互に入れ、重しをして一ヵ月程度漬け込んだ後(この状態のものを「梅漬け」という)、数日間天日干しをしたものをカメや瓶などで保存したもののことをいいます。
冒頭に書いたような100年ものの梅干しはこうして作ったものでしょう。高い塩分濃度であるため、カビなどが発生しにくく長期の保存ができるのです。


一方で、調味梅干しは、梅干しを一度水に漬け、塩抜きしたものを調味液(砂糖や酢、香辛料、削りぶしなど)に再び漬けたもののことをいいます。例えば、「梅干しなのに甘くて食べやすい」と人気のあるハチミツ漬けなどは、この調味梅干しにあたります。

調味梅干しは塩抜きしてあるため、梅干しよりも塩分が少なくなります。五訂日本食品標準成分表によると、100g当たりの塩分相当量は、梅干しでは22.1gで、調味梅干しでは7.62gとなっています。
調味梅干しは現代の日本の減塩への志向(*)に合ったものになっているといえますが、梅干しのように長期保存はできません。
*塩分摂取についてはこちらの記事をご覧ください。

また、おつまみやおやつとして食べられるカリカリした梅は、天日干しをしていない梅漬けを調味液に漬けた「調味梅漬け」と呼ばれるものです。


おいしさの基準は人それぞれです。品質表示に名称として、梅干しなのか調味梅干しなのかは記載されています。今度、名称を確認し、その味の違いを確かめてみてはいかがでしょうか。