アク抜きの方法

昨日は、植物性のアクについて書きました。ほうれん草やたけのこなど、アクの成分が多く含まれている野菜でも、ゆでることでその多くは除去できるということでしたね。
今回はそれらの効果的なアク抜き法についてご紹介します。


☆ほうれん草
ほうれん草に含まれるアクの成分、シュウ酸や硝酸塩は、ゆでることで多くが取り除けます。農林水産省のHPによると、ほうれん草はゆでることで硝酸塩の約30〜45%が除去できるそうです。
さらに、アクの成分はゆで汁に溶けだしていますので、ゆでた後、ほうれん草を菜箸でつまんで出すのではなく、ゆでこぼす(*)とよいでしょう。
*:ゆでこぼすとは、ゆで汁ごとザルなどにあげてゆで汁を捨てることです。
野菜を電子レンジなどで蒸し、ゆでる代わりにする人もいるかもしれませんが、ほうれん草のアクを抜くためにはこのようにゆでこぼす方がいいのです。


☆たけのこ
たけのこにはアクの成分、シュウ酸やホモゲンチジン酸が含まれています。
これらはほうれん草のときと同様にゆでることで除去できますが、効果的にアク抜きをするには、水に米ぬかを加えるか米のとぎ汁でゆでるとよいでしょう。
これは昔から行われている方法ですが、米ぬかや米のとぎ汁に含まれる酵素がたけのこの繊維をやわらかくしてアクの成分を取り出しやすくし、また、米ぬかなどのアルカリ性物質によってアクの成分が溶出しやすくなるそうです。米ぬかの代わりに重曹を使っても同じ効果があります。

【たけのこのゆで方―米ぬかを使った場合―】
(1)穂先を切り落とす
(2)外側の皮を数枚むく
(3)火を通りやすくするために、縦にざくっと切り目を入れる
(4)鍋にたけのこと覆うくらいの水、たっぷりの米ぬかを入れる
(5)強火にかけ、煮立ったら弱火にして40分から1時間ゆでる
(6)竹ぐしをさして軟らかいことを確認できたら火を止め、室温で冷ます
(7)米ぬかを洗い流す

ところで、ゆでたたけのこの表面に白い粉のようなものが見られることがありますが、それはアミノ酸チロシン)がゆでたときに溶けだし、冷えて固まったものです。白い粉はアクの成分やカビなどではないので、取り除かなくても大丈夫です。


☆ワラビやゼンマイ
ワラビやゼンマイにはチアミナーゼというアクの成分が含まれています。
チアミナーゼビタミンB1を分解する酵素であるということから、ワラビやゼンマイを食べ過ぎると脚気になると言われることがあります。しかし、酵素は熱に弱いので、ゆでる、いためるなどの加熱調理をすれば健康への影響の心配はいりません。
効果的なアク抜き法は、たけのこと同様です。ワラビやゼンマイも繊維が多いので、ゆでるときに米ぬかや重曹を加えるか、米のとぎ汁でゆでると繊維がやわらかくなり、アクの成分がよくとれます。
ワラビにはプタキロサイドという化学物質が含まれており、これには発がん性があるとされています。しかし、この物質もアルカリ性に弱いので、上のような米ぬかや重曹を使ったアク抜きをすることでプタキロサイドも分解されます。


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これまで植物性のアクについて書きましたが、鍋料理で肉や魚から出てくる白い泡のようなアクは何なのでしょうか?

これは、植物のような化学物質ではなく、肉や魚から煮汁に溶けだしたたんぱく質が、熱変性によって固まったものなのです。
動物性のアクの正体はたんぱく質!ということで、このアクを食べることで健康に影響があるということはありません。だけど、見た目が悪く、口当たりもよくなくなってしまうので、普通はおたまですくって取り除いていますね。