かつお節もあの生物の力を借りて・・

味噌や醤油、納豆、ヨーグルトはみな微生物によって作られる食べ物です。

そして、和食に欠かせない食材、かつお節も微生物(カビ)を利用することがあるのをご存じでしたか?
「することがある」というのがポイントです。カビを使わない場合もあります。


かつお節作りはまず、カツオの身を煮るとことから始まります。
煮られてたんぱく質が凝固した身はその後、何度もいぶされます。いぶすことで水分が抜かれ、身がかたくなってきます。水分が26%以下になるまでいぶす作業は続きます。
繰り返しいぶすと、身の表面にタールが付着し、また、中からカツオの脂肪分が出てきます。そうしたものを取り除くために、いぶした後は表面を削ります。
ここまでの工程で「ふし」ができあがります。そしてそれを薄く削ったものは「かつお削りぶし」といい、花かつおなどとして販売されます。



写真1. 「かつお削りぶし」


カビが登場するのは次の工程です。
ふしの表面にカビを付けることで、カツオの水分はさらに抜かれ、また、特有のよい香りやうま味が作られます。カビはかつお節の製造用に培養されたユーロティウム属が使われています。
まず、カビが生育しやすい条件(温度や湿度)に調整した室にカツオの身とカビを入れます。そして身がカビでおおわれてきたら取り出し、日干ししカビを落とします。
こうした作業を何度か繰り返します。カビを落としたカツオの身を再度カビとともに室に戻し、またカビ付けを行うのです。カビ付けを二回以上行ったものは「かれぶし」といい、四回以上行ったものは特に「本かれぶし」と呼ばれています。
カビ付けをしない「かつお削りぶし」に対して、これらを削ったものは「かつおかれぶし削りぶし」という名称を持っています。


かつお削りぶしか、かつおかれぶし削りぶしかは、「削り節品質表示基準」により食品表示に記載することが定められています。
また、この基準により、かつお削りぶしには(*)、原料であるカツオの原産地を表示しなくてはなりません。国産である場合はその旨を(都道府県名や市町村名でも可)、外国産である場合は国名が表示されます。
かつおかれぶし削りぶしは外国ではほぼ作られていないそうです。



写真2. こちらは国産でした


毎日のダシとり用には手頃な「かつお削りぶし」を、おひたしや冷奴に載せるのには「かつおかれぶし削りぶし」をといったように、用途によって使い分けるといいかもしれません。