黒いお米

暑さが随分やわらぎ、秋が近づいてきました。秋といえば、新米の季節です。
つやつや真っ白なお米にワカメの味噌汁や焼き魚を合わせて食べるのが今から楽しみです。

さて・・
今回はそんな真っ白なお米ではなく、真っ黒なお米、「黒米」のお話です。



修善寺を訪れた際に購入した黒米で作ったおにぎりです。黒米は白米に混ぜて炊くのが普通のようですが、今回は100%黒米にしてみました。

みなさんは黒米を食べたことがありますか?
黒米は歯ごたえと粘り気(*)のある食感で、甘味や香ばしさが強いのが特徴です。白米は味が濃いおかずに合いますが、黒米はそれだけでおかずの一品のような感じがします。
*黒米にはうるち米ともち米の二種類がありますが、栽培されている黒米のほとんどがもち米で、修善寺の黒米ももち米でした。もち米らしい粘り気がありました。


修善寺は町起こしとして黒米を特産物にし、町の旅館や飲食店などで黒米を使ったメニューを提供する取り組みをしています。餅やお菓子など様々な加工品にも使われています。
修善寺において黒米が初めて試験栽培されたのは平成2年とのことですが、黒米自体は紀元前の中国で発見されたのが始まりと言われており、その歴史は古いことが分かります。


黒米は紫がかった黒色に見えることから紫黒米(しこくまい)とも呼ばれます。
上の写真は精米していない状態の黒米を炊いたものですが、完全に精米すれば白色になるそうです。黒米の色素であるアントシアニンは外側のヌカの部分に含まれているからです。(完全に精米した白い黒米は、どのような味がするのでしょうか・・?)

色が付いているお米といえば、黒米のほかに赤米があります。赤米にはタンニンが含まれています。
アントシアニンやタンニンは水に溶けやすい性質があるため、黒米や赤米を白米に混ぜて炊くと全体に色が行き渡ります。赤飯があれだけ均一な赤色になるのは、小豆に含まれているアントシアニンのこの性質によるものです。


真っ白な白米もおいしいですが、たまには黒米を使ってアレンジしてみると目にも舌にも楽しそうです。スーパーなどで黒米を見つけたら、一度試してみてはいかがでしょうか。