ケーキとパンがふくらむ理由

年末の大掃除はお済みですか?

普段はあまり手をつけないようなエアコンのフィルターや排気口をきれいにすると、よい気持ちで新年を迎えられそうです。

最近は重曹を洗剤代わりに使う人が増えています。重曹は環境に負荷をかけないものとされ、「エコ掃除」なんて呼ばれて注目を浴びました。


重曹はすっかり掃除用という印象を持っている人もいるかもしれませんが、料理にも使います。

黒豆を煮るときに入れたり、ワラビのあく抜きに使ったりと用途は様々ありますが、ケーキなどの膨張剤として使われることが多いです。

重曹は正式には炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)といいます。

炭酸水素ナトリウムは熱を加えられることによって、炭酸ナトリウムと水、そして二酸化炭素に分解します。
この反応によって、オーブンなどで焼いている間にケーキ生地中で二酸化炭素が発生し、ふわふわのケーキが出来上がるのです。

ただし、実際のケーキ作りには、重曹ではなくベーキングパウダーと呼ばれるものを使うことがほとんどです。
重曹でもケーキはふくらむのですが、発生する炭酸ナトリウムによって風味が低下してしまうのです。ベーキングパウダーは重曹が主成分ですが、中和剤を加えてあるので、風味を損なうことがありません。


また、同じ「ふくらむ」でも、パンは重曹を使いません。
重曹は加熱することで化学反応により二酸化炭素が発生する・・と書きましたが、パン生地は室温でもふくらみます。

そのふくらむ理由は、パン酵母イースト菌)と呼ばれる菌の働きなのです。
パン酵母はアルコール発酵という反応によって、パン生地に含まれる糖を分解し、エタノール二酸化炭素を生成します。こうして二酸化炭素ができることによってパン生地はふくらむのです。
この反応は30度前後で最も活発になります。

先日の記事にも書きましたが、ぶどう果汁は酵母によるアルコール発酵でエタノールができワインになります。
一方で、パンを作る場合は、エタノールはオーブンなどによる加熱で蒸発するので、パンにお酒の味がするということはないのです。


同じ「ふくらむ」でも、その理由は違うのです。
また、「かたまる」にも様々な理由がありそうですので、また今度ご紹介したいと思います。