遺伝子組み換えの大豆は普通のものとどう違う?

豆腐や納豆の原材料表示で、「大豆(遺伝子組み換えでない)」という記載をよく見かけると思います。



だけど、皆さんは「大豆(遺伝子組み換え)」というものを見たことはありますか?あるとしたら、遺伝子組み換えのものと遺伝子組み換えでないものはどう違うのでしょうか?

ということで、「大豆(遺伝子組み換えでない)」という表示を見て多くの人が抱きそうな疑問について、今日と明日の二回に分けて書きたいと思います。


☆遺伝子組み換えの大豆は普通のものとどう違う?

遺伝子の並び順が違います。ただし、育種によってうまれた大豆も遺伝子の並び順は変わっています。

遺伝子組み換えとは、「害虫に強い」「除草剤に強い」「栄養成分が多い」といった性質を持たせるために必要な遺伝子を、ある生物から取り出し、既存の作物の遺伝子に挿入する技術です。食品の他に口に入るものでいえば、インスリン(糖尿病の治療薬)などの薬の生産で一般的に使われています。


遺伝子を扱うというと、新しい技術だという印象があるかもしれません。

しかし、昔から行われている、ある作物と別の作物を人工的に交配させ、その中からよいものを選抜していくという作業、つまり育種においても、遺伝子の変化が起こっています。味や色が変わっているということは、遺伝子の変化があるのです。
ただし、遺伝子の働きが今のように分かる前は、遺伝子の変化が起こっているということを知らずに育種していました。言い換えると、人間は長い間知らずに遺伝子を変化させた作物を食べていたのです。

育種には膨大な時間と労力が必要です。この点で遺伝子組み換えは、確実に作物に目的の性質を持たせることができるため、新しい品種の開発がしやすくなります。
さらに、育種では交配できる種の間でしか遺伝子のやり取りができませんが、遺伝子組み換えではそうした種の制限をこえることができます。


2010年1月21日現在のリストでは、日本での栽培や流通が認められた遺伝子組み換え作物は、大豆の他にじゃがいも、てんさい、とうもろこし、なたね、わた、アルファルファの7作物があり、全部で101品種あります。


遺伝子組み換えによってうまれた新しい品種は、食品としての安全性と飼料としての安全性、それを栽培することによる環境への影響を審査されます。
審査では、挿入した遺伝子が目的の通りに働いているか、新しくできたタンパク質がアレルギーを引き起こさないかなどがチェックされ、この審査に通ったものだけが商業的な栽培と流通が許されます。

先にも書いた通り、育種によってうまれた作物にも遺伝子の変化が起こっていますが、こうした審査は行われていません。