遺伝子組み換えの大豆が使用された食品はない?

昨日に引き続き、今回も豆腐や納豆の原材料表示にある「大豆(遺伝子組み換えでない)」という記載を見て多くの人が抱きそうな疑問について書きたいと思います。


それでは早速・・


☆遺伝子組み換えの大豆が使用された食品はない?

遺伝子組み換え作物を使用した食品はあります。

ただし、納豆や豆腐などで、主な原材料として遺伝子組み換えあるいは遺伝子組み換え不分別の作物を使用した加工食品は現在ほとんど販売されていないようです。


遺伝子組み換えが使われているかどうかは、やはり食品表示によって判断します。
遺伝子組み換えに関する表示は、「遺伝子組み換え」「遺伝子組み換え不分別」「遺伝子組み換えでない(任意)」の三通りあります(表1)。


よく見られる「遺伝子組み換えでない」という表示は実は任意であり、「大豆」とだけ書かれている場合も、遺伝子組み換えでない大豆が使われているということを表しています。

こうした「遺伝子組み換えでない」表示は、メーカーや流通業者が消費者に情報を分かりやすく開示するための工夫であるようですが、一方でこうした表示によって、遺伝子組み換えへのネガティブなイメージを大きくしているということがありそうです。

いずれにせよ、こうした表示をしたい場合、遺伝子組み換え作物とそうでない作物を分けて管理する方法であるIPハンドリングを行わなければなりません。このIPハンドリングが確かに行われたという証明のあるものだけが「遺伝子組み換えでない」あるいはただの「大豆」と表示することができます。
ただし、厳密に管理をしていたとしても、少しの遺伝子組み換え作物が混ざってしまうことがあります。そのため、混入率が5%以下については、IPハンドリングが適切に行われたものとされます。


表1.遺伝子組み換えに関する表示の決まり

表示
必須・任意
遺伝子組み換え必須
遺伝子組み換え不分別必須(遺伝子組み換えのものとそうでないものが混合)
遺伝子組み換えでない任意(IPハンドリングの証明が必要、5%以下の混入はOK)


「遺伝子組み換え」と「遺伝子組み換え不分別」は、大豆やじゃがいもなどの7作物と豆腐や納豆のようにそれらを主な原材料(*)とした32の加工食品群に表示の義務があります(表2)。
(*:原材料の重量に占める割合の高い上位3位までのもので、かつ原材料の重量に占める割合が5%以上のもの)


表2.遺伝子組み換えの表示が必要な加工食品群


また、加工の工程で遺伝子やたんぱく質が分解されるような食品は、遺伝子組み換え作物を使っていたとしても、「遺伝子組み換え」や「遺伝子組み換え不分別」という表示をする必要がありません。例えば、油や醤油、コーンフレークなどがこれに当てはまります。