(独)国立健康・栄養研究所「栄養・食生活と『健康食品』」(2)

1月31日、国立健康・栄養研究所による一般公開セミナーが開催されました。

先日の記事では甲子園大学長の田中平三氏による基調講演の中身をご紹介しましたが、今回は後編として、同研究所の梅垣敬三氏の講演をまとめたものを書きたいと思います。


☆「健康食品」の安全な利用法(国立健康・栄養研究所情報センター長、梅垣敬三氏)

健康食品は全て有益、または全て有害というものではありません。誰が、どのような目的で、どのような製品を、どのように利用するかによって、有益にも有害にもなるのです。


【避けるべき健康食品】
違法製品は重大な健康被害につながる可能性があり、使用してはいけません。
ここでいう違法製品は、医薬品成分が含まれているに関わらず許可を得ていないものですが、こうした製品の入手先はインターネットや渡航先がほとんどです。また、形態としてはカプセルや錠剤のものが半数以上を占めているという特徴があります。
カプセルや錠剤は味がなく小さいので、特定の成分を簡単に多量に摂取できます。しかし一方で、こうした特徴により、特定の成分の過剰摂取につながることもあるのです。

品質が不明確な製品も使用しない方がいいでしょう。
品質を確認するために、成分名だけではなく含有量も見てください。例えば、表のラベルにはグルコサミンと書いてあっても、含有量としては上から三番目であるということもあるのです。普通、品質表示には含有量が多い順から成分が記載してあります。

また、植物エキスには特に注意してください。植物は天然のよいイメージでアピールしていることがありますが、実際はまだ分かっていないことが多く、毒性の強い成分が含まれていることがあります。


【健康食品と医薬品の大きな違い】
健康食品は病気の治療目的で使ってはいけません。健康食品と医薬品は、次の点で大きく異なります。

・品質:医薬品は同じ名前であれば全て同じ品質であるのに対して、健康食品では同じ名前であっても品質はバラバラ
・科学的根拠:健康食品の試験対象はあくまで健常者
・利用環境:医師の処方であるかそうでないか

また、医薬品との併用によって思わぬ悪影響が出てしまうこともあるので、健康食品を使用する場合はその利用状況を記録しておき、医薬品を使用する際には医師や薬剤師に申告するようにしてください。


【健康食品を安全に使用するポイント】
まとめると、健康食品を使用する場合には次のポイントを押さえ、リスク(出費や健康被害)とベネフィット(健康)を考えることが大切です。

●あくまで食品のひとつとして補助的に使う。
・食品の形態のものを使う。
・確かな品質のものを使う。
・病気の治療目的では使わない。

もし健康食品の使用に迷ったときは、公的機関が出している情報を参考にしてください。国立健康・栄養研究所「『健康食品』の安全性・有効性情報」では随時、被害関連情報を更新しています。