ついつい摂りすぎてしまう塩分

皆さんは昼食に何を食べますか?

おそばやうどん、ラーメンをよく食べる人は、お汁の飲みすぎに気をつけてください。おいしくてついつい飲んでしまいますが、これを繰り返すと塩分の摂りすぎになってしまいます。


厚生労働省は、国民の健康の維持・増進や生活習慣病の予防を目的として、エネルギーおよび栄養素の摂取量の基準(食事摂取基準)を定めています。
この基準は国内外の学術論文や資料を活用し、五年に一度改定されます。2010年はその改定の年であり(*1)、向こう五年間はこの基準を用いて栄養指導や給食管理が行われることになります。
*1:2010年版の食事摂取基準


食事摂取基準では各栄養素の必要量と目標値が設定されていますが、ナトリウムについては、「ナトリウムを食事摂取基準に含める意味は、むしろ、過剰摂取による生活習慣病のリスク上昇を予防することにある。」との記述があります。
食事によるナトリウムの主な摂取源は塩化ナトリウム(食塩)で、食塩相当量は次の式で計算されます。

食塩相当量(g)=ナトリウム(g)×2.54
 

2010年版の食事摂取基準によると、成人のナトリウム必要量は600mg/日で食塩相当量は1.5g/日となりますが、通常の日本人の食事ではこの量を下回ることはまずありません。

ナトリウムは身体にとって必要不可欠な成分ですが、その過剰摂取は高血圧やがん、脳卒中といった生活習慣病の原因となることがあります。
WHO/国際高血圧学会のガイドラインでは、高血圧の予防と治療のために食塩摂取量を6g/日未満に抑えることを勧めており、日本高血圧学会のガイドラインでも同じ値を示しています。

一方で、平成20年度の国民健康・栄養調査の結果によると、日本人の一日の食塩摂取量は成人で平均10.9g(男性11.9g、女性10.1g)であり、高血圧学会のガイドラインの値とは大きな差があります。

しかし、国民健康・栄養調査での経年変化をみると、男女とも食塩の摂取量は減少している傾向があり、また、無理な減塩による弊害(ストレスやその他の栄養成分摂取への悪い影響など)が起こることも考えられるので、2010年版の食事摂取基準においては、成人で今後五年間に達成したい目標値として、男性9.0g/日未満、女性7.5g/日未満という値を設定しています(表)。


表.日本人(成人)の食塩摂取量の平均と目標

性別
平成20年度の平均
今後五年間の目標値
男性
11.9g/日
9.0g/日未満
女性
10.1g/日
7.5g/日未満


では、私たちはどのようにして減塩をしたらよいのでしょうか?
冒頭に書いた、麺類のお汁は飲みすぎないようにするということもひとつの(そして大切な)ポイントだと思います。
あとは、料理の味付けで醤油や食塩の使用を減らすことですが、これで物足りなく感じる人は酢を活用してみるというのもいいかもしれません。例えば、餃子には醤油と酢を半分ずつつけて食べるなど・・

また、加工食品には栄養成分の表示(*2)がされていることがありますので、それを確認して、「自分が一体どのくらいの塩分を摂取しているのか?」を普段から意識することも大切でしょう。
*2:義務ではない。しかし、表示する場合は、食品100gや一食分などの食品単位当たりの、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウムの含有量は必ず記載する。

ただし、栄養成分表示では、食塩ではなくナトリウムとしての含有量が記載されています。上でも式を書きましたが、食塩相当量に換算するには、ナトリウムに2.54を掛けてくださいね(単位にも注意!)。