アサリは今が旬

お味噌汁や酒蒸し、パスタ、炊き込みご飯にしてもおいしいもの・・アサリ!
アサリは今の時期、春が旬です。


ところで、この「旬」とはどのようなことでしょうか。私たちにとってみれば、その食べ物が一番おいしく、たくさん採れる時期といえますが、食べ物にとっては・・?

例えば、アサリの場合。
関東のアサリは5月に産卵期を迎えます。産卵にはたくさんのエネルギーを使うので、アサリはその前にたくさんの獲物を食べて栄養を蓄えます。そのため、産卵期の直前である3〜4月がもっとも身が太っておいしいと感じるのです。
また、アサリは10月にも産卵するので、9月頃も旬だといえます。このように旬の時期は地域によって変わることもあります。

アサリのように、子孫を残す時期の直前がおいしい、というのと似たことが植物の果実にもあります。
被子植物は、種子を動物(鳥やアリ、ほ乳類など)に運んでもらうためにおいしい果実を作ります。動物はおいしい果実に近づき食べるので、その果実に含まれる種子は動物のお腹の中に入り、動物の行き先で排せつされることで移動することができるのです。こうして、被子植物は子孫を残すために果実を熟し、私たちにとってみれば、それが果物のおいしさとなるのです。


さて、アサリに話を戻します。

アサリは料理の下準備として、塩水につけて砂抜きをします。このとき、貝殻の間から少しずつ二本の管が出てきますよね。
この管・・先が黒いので「目」のようなものだと思っている人がいるかもしれませんが、目ではありません。出水管と入水管という、アサリが獲物を食べるための管なのです。
アサリはプランクトンを食べます。プランクトンは私たちの目では見えないほどの小さな生き物で、海水中を浮遊しています。アサリは入水管から海水を吸い込み、その中のプランクトンをこしとって食べ、必要のない海水を出水管から排出するのです。


アサリとプランクトンの話になったので、ついでに貝毒のお話も・・

プランクトンを食べているアサリやシジミなどの二枚貝は、貝毒を発生することがあります。貝毒とは、有毒なプランクトンを食べた二枚貝が毒化することで、海の生態系で起こる自然な現象です。
ただし現在の日本では、貝類は定期的に毒が含まれていないかがチェックされ、毒化した貝類が市場に出回ることはありません。また、潮干狩りについては、地元の漁業組合などにより管理された潮干狩り場で行うようにしましょう。

貝毒による食中毒は、麻痺性の中毒症状や下痢性の中毒症状を引き起こします。カキに感染することのあるノロウィルスはしっかりとした加熱調理で死滅しますが(*)、貝毒は熱に強く、家庭で料理する程度の加熱では分解されません。

*カキも二枚貝なので貝毒を発生することはありますが、アサリと違って自分たちで採取したものを食べることはあまりないし、他の貝類と同様に市場に出回っているものは安全なので、貝毒による食中毒はほとんどないでしょう。
ノロウィルスについては、こちらの記事を参考にしてください。