期限切れの食品をどうする?

「牛乳を買うときは商品ケース中でなるべく奥にあるものを選んでいます。新しいから。」・・という人は多いのではないでしょうか。
今回は、食品表示の中でも、ほとんどの人がチェックするであろう期限表示について書きたいと思います。


みなさんは、期限切れの食品をどうしていますか?
過ぎたら捨ててしまうという人もいれば、匂いや見た目で大丈夫そうだったら食べるという人もいると思います。


期限表示には「消費期限」と「賞味期限」の二種類があり、加工食品(一部を除く)にはどちらかを記載する決まりになっています。
消費期限か賞味期限か。この違いによって、期限切れの食品をどうしたらいいかへの答えが異なるのです。


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☆消費期限
お弁当、サンドイッチ、生めん、食肉など、比較的腐りやすい(製造日から大体5日以内に品質が劣化する)食品に付けられます。消費期限を過ぎたら、できるだけ食べない方がいいでしょう。



写真1. この大福も消費期限


☆賞味期限
腐りにくい食品に付けられます。スナック菓子やカップ麺、缶詰、ジュースなどはイメージしやすいと思います。その他、牛乳や乳製品、たまごなどもこちらに当てはまります。
賞味期限を過ぎても、すぐに食べられなくなるというわけではありません。
(ただし、たまごは期限を過ぎたら生で食べない方がいいことに気をつけてください。詳しくはこちら。)
賞味期限は、読んで字のごとく、「おいしく食べるのに適した期限」ということです。
どの程度までなら過ぎても大丈夫なのかは、匂いや見た目など、五感をつかって自分で判断するしかありません。経験から学ぶことが大切ですが、食品の経時変化については、また別の機会に書きたいと思います。


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スーパーで色々な食品の期限表示を見てみたところ、普通の牛乳は賞味期限でも低温殺菌の牛乳は消費期限だったり、普通の豆腐は消費期限でも焼き豆腐は消費期限だったりとなかなかおもしろかったです。


こうした期限表示は、その食品のことを一番よく分かっている製造業者、輸入品の場合は輸入業者が設定します。食品に対して、微生物試験や理化学試験、官能検査などを行い、それによって得られた期限に1以下の安全係数をかけて消費期限あるいは賞味期限にします。

農林水産省は、安全係数は、個々の商品の品質のばらつきや商品を取り囲む環境などを考え合わせて設定し、これらの変動が少ない場合は0.8以上を目安に設定することが望ましい、としています。
例えば、化学的な試験によって7日間は食べても問題がないとされた食品があるとします。それに0.8の安全係数をかけると、7×0.8=5.6(日)となります。小数点以下は切り捨てて、この食品には5日間の期限表示が付けられることになります。


このように、消費期限と賞味期限は全く違う意味を持っているのですが、共通した大切な前提があります。

それは、
開封前の状態であること・・開けたら期限に関わらずなるべく早いうちに食べましょう
●定められた方法(*)で保存してあること・・例えば、冷蔵保存と記されたものを室温に置いたままにしないようにしましょう
*:保存方法が記載されていない場合は、常温での保存でOK。
ということです。



写真2. 牛乳の表示


消費者の食品の取り扱い方によっては、安全係数をかけた期限内であっても食あたりを起こす可能性もあります。そうした事などから、製造業者はより安全側に余裕をもたせるように、安全係数を小さい値にして、期限を短く設定するということがあるようです。
しかし、必要以上に短く設定された期限表示によって、まだ食べられる食品が廃棄されるということが増えてしまうかもしれません。
社会全体での食品のムダを少なくするために、私たち消費者にできることのひとつは、「保存方法をチェックしてそれを守る」ということです。これは比較的簡単なことですね。