ブランド肉?

ビールを飲む牛やドングリを食べる豚・・肉の中には、こうした飼料の違いや育て方の違いなどから、○○牛、○○豚というような銘柄がついたものがあります。有名なものでは、松阪牛、神戸牛、かごしま黒豚など。

最近は、数多くの銘柄肉が売られており、その種類は年々増えています。
財団法人日本食肉消費総合センターによると、日本の銘柄牛は、平成11年には139種類だったのが平成17年には229種類に増えています。豚肉も同様で、平成12年には179種類だったのが平成17年には255種類に増えています。(銘柄肉は許可制ではなく、上のいずれの数字も生産されている全ての銘柄肉を把握した結果ではありません。実際にはもっと多くの銘柄肉があるのですね・・)

銘柄肉は一般的に高く、「おいしそう」というイメージがありますが、実際には銘柄肉に品種の限定や格付け(*)が上位のものであるといった共通の基準があるわけではありません。
*:社団法人日本食肉格付協会が、肉質と歩留まり(全重量に対する可食部重量の割合)によって定めた肉のランク

そうした基準とは関係なく、各地域で肥育方法や飼料に趣向を凝らせて育てた牛や豚が独自のネーミングを付けられ、銘柄肉として売られているということが多くあります。つまり、銘柄肉ならもれなく品質がよいというわけではないのです。


ちなみに、銘柄肉と同様に高くておいしいイメージのある和牛は、黒毛和種褐毛和種日本短角種無角和種の四品種とそれらの中の交雑種のことを指します。詳しくはこちらの記事をご覧ください。和牛で指定されている品種の牛であれば、「銘柄牛であり和牛である」ということになります。


***


さて、前述の日本食肉消費総合センターが作成した銘柄牛肉ハンドブックと銘柄豚肉ハンドブック(いずれも2005年版)から、いくつか銘柄肉の例を取り出してみます。

まずは有名ドコロを・・

・松坂牛(三重県
読みは「まつさかうし」。兵庫県などから導入された黒毛和種に農家が自家配合をした飼料(粗飼料、麦、ふすま、大豆粕)を与えて育てた出産経験のない雌牛。松坂牛は松坂牛個体識別管理システムというものに登録されており、消費者は購入した松坂牛が本物かどうかをチェックできるようになっているそうです。
黒毛和種は和牛として認められている品種ですので、松阪牛は和牛であるといえます。

神戸ビーフ兵庫県
兵庫県内で生産される黒毛和種(但馬牛)を組合の基準をもとにした配合飼料を与えて育てたものです。こちらも和牛といえます。

・かごしま黒豚(鹿児島県)
鹿児島県黒豚生産者協議会会員がバーククシャー種を県内で生産・肥育し、肥育後期に甘しょ入りの飼料を60日間以上与えたものです。


こんなものもあります・・

・なかなかびーふ(全国)
全国にいる、なかなかびーふの認定生産者によって生産されます。黒毛和種、あるいは、黒毛和種×ホルスタインの交雑種で、組合指定の配合飼料を一年以上与えたものです。

・しあわせ満点牛(千葉県)
「漢方、生薬に含まれる植物性多糖体とビタミンEをバランスよく配合し、牛の健康に留意した牛肉です」とのこと。出荷量は年200頭とわずかです(比較のために、なかなかびーふは年1,800頭、神戸ビーフは年2,500頭)。

・北浦oh茶メ豚(宮崎県)
何て読むか分かりますか?正解は・・「きたうらおちゃめとん」です。ランドレース、大ヨークシャー、デュロックが混じり合った品種に、お茶を加えた配合飼料を与えて育てたものです。

・朝霧ヨーグル豚(静岡県
読みは「あさぎりよーぐるとん」。ランドレース、大ヨークシャー、デュロックが混じり合った品種に、組合が指定した乳酸発酵飼料を与えて育てたものです。品質に関しては自主基準があります。


***


おいしさの基準は人それぞれですし、銘柄肉=おいしいというわけでは必ずしもないかもしれません。
なので、「銘柄肉だから」購入するというよりは、その銘柄肉にはどんな特徴があって、それによってどう味が違うのかを確かめる・・という楽しみ方が良いかもしれません。そして、本当に「これはおいしい!」というものに出会えたらうれしいですね。