アイスクリームの期限表示は?

これからの季節、ますますおいしいアイスクリーム。
他の食品に比べ、アイスクリームを「いつまでに食べなくちゃいけない」などと期限を意識している方は少ないかもしれません。

加工食品には消費期限か賞味期限のどちらかを記載しなくてはいけないことになっています。期限表示については以前こちらに書きましたが、簡単におさらいを・・
消費期限と賞味期限のどちらを記載するのかは、その食品がどれだけ「持つ」のかによって違います。比較的腐りやすい食品には消費期限、腐りにくい食品には賞味期限が付けられます。
消費期限については期限を過ぎたものはできるだけ食べない方がよく、一方で賞味期限についてはそれを過ぎてもある程度ならば食べても大丈夫、ということでした。


☆では、アイスクリームの期限表示は?

先日の記事を書くために購入したアイスクリームを三つ見てみたところ、いずれにも期限表示は付いていませんでした。
実は、アイスクリームに期限表示はしなくてもよいことになっているのです。
なぜなら、アイスクリームは原料が比較的単純で安定しており、また、冷凍庫などで低温保存されるからです。冷凍庫の温度のような低温で細菌は増殖できなく、長期間保存しておいても品質の劣化はごくわずかです。

多くの食品の品質保持は製造してからの時間がキーとなりますが、アイスクリームについては時間よりも温度管理の方が重要です。

こうした理由により、農林水産省加工食品品質表示基準(*)で、アイスクリームには期限表示はしなくてもよいと定められています。
*:アイスクリームのほかに期限表示をしなくてよいものに、チューイングガムや砂糖、塩などがあります。


☆アイスクリームの保存の適温は?

細菌は種類によって好む温度が違いますが、低温を好む細菌でも生育できる温度は0〜15度くらいだと言われています(冷蔵庫の温度はこの範囲に入りますね)。

アイスクリームについては、これよりももっと低い−18度以下が保存に適した温度です。
アイスクリームは保存中に部分的に解凍と凍結を繰り返し、小さい氷の結晶がより大きな結晶になり、なめらかな舌触りから少しジャリジャリしたきめの粗いものになっていきます(なので、一度溶けたものを再び冷凍庫に入れて凍らせたアイスクリームはあまりおいしくない)。この過程の進む早さは、できる限りの低温(−18度以下)で遅くなるとされています。

公正取引委員会が作成した「アイスクリーム類及び氷菓の表示に関する公正競争規約」では、期限表示の代わりに「−18度以下で保存してください」などという記載をすることとされています。



ただし、一度開封したアイスクリームはできるだけ早めに食べた方がよいでしょう(これはどの加工食品にも言えることです)。食べかけのアイスクリームを保存する場合には冷凍庫内の食品のにおいが付かないように、また、乾燥しないようにラップなどをしっかりとして保存するようにしましょう。



☆アイスクリームをもっとおいしく食べるための豆知識をご紹介!

アイスクリームの保存には−18度以下が適温だということですが、食べる前にはこれよりも高い温度にするとよりおいしく感じられるそうです。

味を感じるのは舌にある味蕾ですが、温度が低すぎるとこの部分が麻痺してしまい、味をよく感じられなくなってしまうのです。(おいしさを感じる仕組みについてはこちらをご覧ください)
ということで、アイスクリームはほんの少し溶けて軟らかくなっている状態で一番おいしさを感じられます(−13度くらい)。固くなり過ぎたアイスクリームは食べる前に少し我慢して室温に置いておくといいですね。


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ところで、冷凍庫で保存するものといえば、アイスクリーム以外にも冷凍食品があります。アイスクリームと違ってこれらには期限表示がされていますが、どうして?その理由は後日ご紹介したいと思います。