白ワインと赤ワイン

蕎麦砂糖に引き続き、今回は「色の違いはなぜ」シリーズのワインについてです。

ワインには白と赤がありますが、この色の違いはどこからくるものなのでしょうか?

材料にするブドウの色が違うと思っている人もいるかもしれませんね。
確かにブドウ自体にも色の違いはあります。巨峰のような深い紫色をしたものもあれば、「マスカットジュース」から連想されるようなさわやかな緑色(白色系)のものもあります。
紫色のブドウの皮にはアントシアニンという赤色の色素が含まれます。それに対して、白色系のブドウにはアントシアニンではなくフラボノール類の色素が含まれるため、黄色味をおびています。


このどちらのブドウもワインづくりに用いられます。
赤ワインには紫色のブドウを用いることがほとんどだと思いますが、白ワインはどちらのブドウからも作ることができます。赤ワインは果皮や種子を含めて丸ごと使うのに対して、白ワインは果肉だけを使うのです。

ワイン作りの第一段階はブドウをつぶすことです。
白ワイン作りにおいては液体だけをしぼり出すので、ブドウの皮にあるタンニンや色素はほとんど含まれません。
一方で赤ワインでは、しぼり汁を皮や種子とともにある程度の時間置いておきます。この時間が長いほど、色が濃く渋みの強いワインとなります。


白ワインや淡い赤ワインは瓶詰めされるまで半年から1年の間熟成され、フレッシュな花のような香りが残ると言われています。濃い赤ワインは、まろやかな香りが存分に引き出されるまでは少なくとも1年以上の熟成が必要だとされています。

このことは「瓶詰め前の」熟成についてですが、瓶詰めした後もある期間は熟成が進みます。
「○○年もののワイン」と言われるように、時間を置けば置くほどワインはおいしくなるというイメージがあります。しかし、全てのワインには寿命があり、質が低下する方に転じるポイントというものがあります。白ワインや淡い赤ワインは瓶詰め後1年程度、濃い赤ワインは、普通1〜2年程度は熟成が進みおいしくなっていきます(ただし赤ワインはものによっては何十年と熟成するものもあるようです)。


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ワインは色の濃淡も多様ですが、香りはそれ以上に複雑であると言われています。ひとつのワインには何百種類もの揮発性分子が含まれるとか・・。

ソムリエがテイスティングをして「少年時代に家畜小屋で麦わらに寝そべったときの乾いた草の匂いやカブトムシの匂いが思い出される」などというくらいですから、それぞれのワインには飲んだ人の記憶を引き出すような複雑な香りがあるのでしょうね。
旅行に行けない夏休みはワインと共に、こころの旅行をしてみてはいかがでしょうか。