食の安全都民フォーラム「気になる情報の読み方、活かし方を考えます」

9月22日、東京都福祉保健局によるフォーラム「食べものについて、いろいろな情報が入ってくるけれど・・気になる情報の読み方、活かし方を考えます」が開催されました。


食べものについて「あれが体にいい」「あれは体によくない」という話は本当によく耳にします。ですが、その全てが正しいというわけではありません。そうした情報に振り回されて、余計なお金を投資してしまう、おかしな食生活を送ることになってしまうということは是非とも避けたいものです。
本フォーラムでは、独立行政法人国立健康・栄養研究所の梅垣敬三氏により、食品に関する情報の活かし方についての講演がありました。今回はその一部をご紹介します。


☆「表示、広告、マスコミ情報をどう読む?食べものに関する情報を上手に生活に活かそう!」(独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長、梅垣敬三氏)

テレビや新聞、雑誌などにはさまざまな健康情報が取り上げられています。
中には、「専門家」「博士」「研究者」が言っていたという情報もありますが、こうしたものにも注意が必要です。たった一人しか主張していない場合は疑った方がいいでしょう。

マスメディアの情報には、時間や紙面などの都合で内容が省略されている、伝えたいことがことさら強調されている、情報の受け手によって解釈が異なるという特徴があります。


【気をつけるべき情報】
私たちにできることは、「その情報はどういう目的で提供されているのか?」を考えることです。例えば、商品を販売している企業の情報はどうでしょうか。この場合、商品の販売促進が目的なので、その商品に都合の悪いことは書かないでしょう。

また、極端な情報には要注意です。「良い食品」「悪い食品」というように、白黒つけられたら確かに分かりやすいのですが、現実はそんなにはっきりと言いきれないことがほとんどなのです。
例えば、一冊の本から始まった牛乳有害説というものがあります。牛乳は良いものであるという固定観念があるので、有害であると言われると、多くの人は「えっ!?」と驚き、強い印象を残したようです。ちなみに、農林水産省はこの事実誤認について、こちらで考えを示しています。


【全て分かっているわけではない】
時にはそれまで常識と思われていた情報が、新たな発見によって変わることもあります。
例えば、緑黄色野菜に含まれるビタミン類は多く摂取した方がいいと思われていましたが、場合によっては「高容量の」摂取で死亡リスクが高まることがあることが分かっています。ただし、野菜から普通に摂取する容量においては問題ありません。


【食品の安全性と有効性にある誤解】
大きく二つの誤解が一般にあると感じています。

一つ目は、天然ならば安全で化学合成品は危険だ、というイメージで捉えられていることです。
こうした二分に全く根拠はなく、天然のものであろうが合成したものであろうが、その安全性は調べてみなければ分かりません。この点で、食品添加物は非常によく試験されており、安全であると言えます。

二つ目は、摂取量の概念が考慮されていないことです。
良いと言われる成分が食品中に入っているとしても、それが微量であれば作用は期待できません。一方で、多量に含まれているとしたら、むしろ安全性が危惧されることがあります。
ビタミンやミネラルは不足すると健康によくないので、食材からきちんと摂取するべきです。しかし、サプリメントから摂取する場合は注意が必要です。食材はカサがありますし、匂いや味があるので、食べられる量は限られています。それに対して、サプリメントは一度に多量に特定成分の摂取が可能となります。この特徴により、特定成分が過剰摂取しやすくなり、それは不足している場合と同様、健康へのリスクを高めることになるのです。

健康の保持・増進のために必要なのは、健全な食生活、適度の休養、適度な運動という三つのバランスです。何事も基本が大切なのです。


【適切な情報源】
食品に関する適切な情報はどこで手に入るのでしょうか?
冒頭にも書きましたが、ポイントは、その情報がどういう目的で提供されているのかということです。

お勧めの情報源として、次のものを挙げたいと思います。
東京都福祉保健局、食品衛生の窓
厚生労働省食品安全情報
食品安全委員会
消費者庁、食品の表示
・(独)国立健康・栄養研究所(運動、栄養)(健康食品に関する情報)