ツンとおいしいワサビ

今回は蕎麦や刺身に欠かせないワサビのお話です。


ワサビは山間部の渓流に生育する日本原産の植物です。普段私たちがすりおろして食べるのはワサビの根茎で、土の中に埋まっている部分を食べているのです(ショウガも同様)。

ワサビの生産地といえば静岡です!1600年頃に静岡で、村人が沢に生えていたワサビを発見したのが始まりと言われています。



ワサビは根茎を食べるのが一般的ですが、葉や葉茎、花にも辛みと香りがあり、どれも食用にされています。そういえばワサビ漬けには茎が入っていますね。


さて・・
ワサビの特徴である鼻につんとくる辛み。
辛みは味のひとつでると思われるかもしれませんが、五基本味(甘味、酸味、塩味、苦味、うま味)の中には入っていません。実は、「辛み」は味覚ではなく痛みに近い刺激感なのです。

辛みを生じさせる化学物質はチオシアネート類です。
ワサビの根や葉の細胞には、病害虫などから身を守るための防御成分であるシニグリンが含まれています。そして、すりおろされることでワサビの細胞が壊れると、酵素の働きでシニグリンが分解されてイソチオシアネートになります。
この物質は口や鼻の神経を刺激し、痛みのシグナルを脳に伝え、辛みが生じるのです。

ワサビの辛みの強さは秋冬に強くなるそうなので(*)、ぜひ今の季節のワサビを試してみてください!
*地上部分の成長のスピードが遅くなる分、根の辛みが強くなる。


ところで、お店でワサビとして出されるものの多くは、ホースラディッシュ(セイヨウワサビ)の粉末を着色し練ったものです。ホースラディッシュは海外ではローストビーフの薬味などとして使われています。この植物はワサビと同じような辛みがありますが、色は白っぽく風味も異なります。
ホースラディッシュは日本でも栽培されており、主な生産地である北海道などでは「山ワサビ」と呼ばれ、ワサビの代わりというより、それ自体の味を楽しむために食べられているそうです。


最後にワサビを食べてむせてしまったときの対処法をご紹介します。

ワサビの辛み成分は揮発性があるので、口に含まれたらすぐに発散して鼻に入っていき、咳が出たりむせたりすることがあります。このようなときは、鼻から息を吸って口から息を吐くようにすれば、刺激成分が鼻や肺に入らなくてすみますよ!