本の紹介「牛肉安全宣言 BSE問題は終わった」

日本で初めてのBSE感染牛が見つかった日から約9年がたちました。

皆さんは牛肉の安全性(BSEに関して)をどのように考えていますか?
何も気にせず普通に食べているという人もいれば、全頭検査をやっているから大丈夫だと思っている人もいるかもしれません。

今回ご紹介する本「牛肉安全宣言 BSE問題は終わった」(唐木英明著、2010年PHP研究所、定価1,680円)では、いまだに多くの人に知られていないであろうBSE問題の事実について分かりやすくまとめられています。



例えば、牛の全頭検査とはどういうことなのでしょうか?

輸入された牛肉を検査し病気にかかっていないことを確認する、ということではありません。
本当は、と殺された牛の脳を検査しプリオン(病原体)が含まれているかどうかを確認する、ということです。検査によってBSEの40%を発見することができます。
この発見率の低さに驚かれるかもしれません。しかし、そもそもこの検査の目的は、牛肉の安全性を保つということではありません。検査はBSEの広がりや対策の効果をみるための手段であり、ゆえに全頭ではなく抜き取り検査で十分なのです。


では、どのようにして牛肉の安全性が保たれているのかというと、それは特定危険部位(病原体の99%が蓄積している部分)を除去することです。

現在はこの対策を徹底しており、また、本の「終わりに」で書かれているように、BSEが広がる原因となった肉骨粉を飼料として用いることを禁止しているので、近い将来地球上からBSEは消えるだろうと考えられています。


牛の全頭検査は安全のための対策ではない。それなのに日本は巨額の税金を投じてそれを続けてきた・・。
国民の一人ひとりがその事実を見据える必要があると感じました。

著者である唐木さんの実体験やエピソードに基づいて書かれた本なのでとても読みやすく、おすすめの一冊です。