本の紹介「フードファディズム メディアに惑わされない食生活」

フードファディズムという言葉を聞いたことがありますか?

今回ご紹介する本「フードファディズム メディアに惑わされない食生活」(2007年中央法規出版、定価1,260円)の著者である高橋久仁子氏は、日本で初めてフードファディズムの概念を提唱しました。
聞きなれない言葉だと何だか難しそうな感じがしますが、本書は実際にあったフードファディズムの具体例を挙げながら説明しており、とても分かりやすいと思います。


フードファディズム―メディアに惑わされない食生活 (シリーズCura)

フードファディズム―メディアに惑わされない食生活 (シリーズCura)


「はじめに」では、フードファディズムについて次のような記述があります。
「『フードファディズム』とは食べものや栄養が健康や病気に与える影響を誇大に信奉することである。これは次々と出てくる食情報に右往左往し、妥当な食生活を営めない人々を生む。今、ちまたにあふれる食情報にはフードファディズムが充ち満ちている。」


例えば、「これを食べれば痩せる!」というような単品に頼るダイエットや健康法が事例として挙げられています。これらは情報番組から火がつくことが多く、これまでも紅茶きのこカスピ海ヨーグルト、ココア、寒天、納豆などがはやりました。
その一方で、「これを食べると病気になる」という考えもまたフードファディズムであるといえます。こちらは、天然なら安全で人工の物は危険だという無添加思想につながることもあります。

人間は安全だという情報より危険だという情報に引き寄せられやすいと言われますが、著者の高橋氏は、こうした一連のフードファディズムの例を見ていると、そうではなくむしろマスメディアが取り上げる量で、何を危険ととらえるかが左右されているのではないかと考えています。


私たちは知らず知らずのうちにフードファディズムに陥っていることがよくあります。では、そうならないようにするためには、どうしたらよいのでしょうか?
本書では、そのヒントとなる、マスメディアとの付き合い方、宣伝トリックを見抜く力、正しい食事法などが紹介されています。

これまで自分はフードファディズムに陥っていなかったかどうか、フードファディズムから解放された生活とはどういうものか・・身近な問題として考えさせられるおすすめの一冊です。