ワカメの話

お味噌汁にしたり、酢のものにしたり、麺類の具にしたり・・今回は何かと使い勝手のいい食材、ワカメについて書きたいと思います。



ワカメは・・
普段の食事では食べやすい大きさにカットしたものしか見ないと思いますが、実は1〜2mの大きさにまで成長します。一般的に言うワカメとは、その大きな体のなかの葉に当たる部分です。私たちはその他の部分もメカブや茎ワカメとして食べています。


メカブ、茎ワカメはどの部分?】
カイソウにあてる漢字には、海藻と海草があります。
海草は陸上植物のなかまで子孫を残すときに種子をつくります。
一方で、海藻は種子ではなく胞子をつくります。私たちが普段食べるのはこちらです。ワカメも海藻なので胞子をつくりますが、その胞子がつくられる部分(ワカメの根元のあたりにある)を私たちはメカブと呼んでいます。
先ほども書いた通りワカメは葉の部分で、茎ワカメは葉の中央を通るかたい芯の部分にあたります。


【ねばねば成分の正体】
ワカメにはぬるぬるねばねばした感じがあります。モズクなどもそうですよね。

この「ねばねば」は、海藻の育つ環境と関係があります。海にはさまざまな物理的ストレス(潮の流れなど)があるため、海藻のなかには、体を強くするため、そして柔軟性を保つために、細胞にたくさんのゼリー状成分を蓄えるものがあるのです。
この成分は多糖類のアルギン酸やカラギーナンなどであり、これらはゼリーやアイスクリームなどの食品添加物(増粘剤や安定剤)にもなっています(*1)。
*1:増粘剤についてはこちらをご覧ください。

ワカメの「ねばねば」の正体も多糖類であり、主となるのはアルギン酸やフコイダンです。


【生ワカメと乾燥ワカメと塩蔵ワカメ】
ワカメの旬は1〜4月頃なので、生ワカメはその時期によく出回ります。
ワカメは緑色のイメージがありますが、実際にはワカメはコンブとともに褐藻であり、茶色をしています。加熱するとおなじみの緑色になります(*2)。
*2:元々緑色をしている海藻には、アオサやアオノリなどがあります。

旬の時期以外は、乾燥ワカメや塩蔵ワカメを使う人も多いと思います。
塩蔵ワカメは生ワカメ(あるいは湯通ししたもの)に塩を加えて脱水させたもので、調理時は水で塩抜きをしてから使います。乾燥ワカメは生ワカメを水で洗って乾燥させたもので、調理時は水で数分戻してから使います。
一般的によく売られているカットわかめも乾燥ワカメですが、使っているのは生ワカメではなく塩蔵ワカメで、それを塩抜きしてカットし、乾燥させています。

塩蔵わかめは塩分濃度が気になる人もいるかもしれませんが、五訂日本食品標準成分表によると、各ワカメの100gあたりの食塩相当量は、生ワカメは1.5g、塩蔵ワカメ(塩抜きしたもの)は1.4g、乾燥ワカメ(素干しのものを水戻ししたもの)は0.7gです。
生ワカメと塩蔵ワカメはほとんど同じくらいの塩分濃度であり、塩蔵すると塩分が高くなるということはありません(もちろん塩抜きはしないといけませんが)。

乾燥ワカメよりも塩蔵や生のものの方が食感がよいと言われることもあります。旬の時期は生ワカメを楽しみ、それ以外の時期は、お刺身のツマには塩蔵ワカメ、お味噌汁には手軽に乾燥ワカメをと、その時々でどのワカメを使うかを変えてみるといいかもしれません。


ワカメの話の続きはまた後日!あると思います。