絹ごし豆腐は絹でこしている?

日本人の食卓によく登場する豆腐。木綿豆腐と絹ごし豆腐があります。

この二つの豆腐を料理によって使い分ける人は多いでしょう。私は赤だしの味噌汁には木綿豆腐、合わせ味噌の味噌汁やお鍋には絹ごし豆腐を使うのが好みです。


ご存じの通り、絹ごし豆腐はやわらかく滑らかな舌触り、木綿豆腐はかたくて噛みごたえのある食感をしています。
名前からすると絹ごし豆腐は絹の布を使ってこしたもので、木綿豆腐は木綿の布を使ったもの・・というイメージがありますが、実際はどうなのでしょうか。

実は、木綿豆腐を作る際には確かに木綿の布を使っているのですが、絹ごし豆腐は絹の布を使っているわけではありません。
絹ごし豆腐は木綿豆腐との食感の違いを、そのような言葉の違いで表現しているに過ぎないのです。


木綿豆腐と絹ごし豆腐の食感の違いは、製法の違いからきています。

絹ごし豆腐は、豆乳ににがり(*)や硫酸カルシウムといった凝固剤を加え、それを冷やして固めたものです。
*「にがり」には、海水から抽出・精製した塩化マグネシウムと、粗製海水塩化マグネシウム塩化マグネシウム含有物)の二種類があります。硫酸カルシウムとともに食品添加物に指定されています。

それに対して木綿豆腐は、豆乳に凝固剤を加えてある程度かためたものを一度崩し、穴の開いた箱に入れ、重しをして水分を抜いたものです。箱の中に木綿の布を敷いているので、木綿豆腐と呼びます。木綿豆腐の表面に布目がついているのはこのためなのですね。

五訂日本食品標準成分表によると、水分量は絹ごし豆腐は89.4%なのに対して、木綿豆腐は86.8%となっています。こうした水分量の違いがかたさの違いにつながっています。


ところで、豆腐はもともと中国で食べられていた食品です。2000年も前に発明されたと言われています。中国の豆腐は伝統的に硫酸カルシウムを使って凝固させていますが、沿岸地域は日本と同様に海水からとったにがりを凝固剤として用いることが多いそうです。



麻婆豆腐には、木綿豆腐と絹ごし豆腐、どちらを使いますか?