パイナップルは追熟する?

みなさんは、買った果物を「まだ甘くなさそうだから・・」と、食べるまでに数日置いたことはありますか。

このように、購入してから食べるまでに数日の間をとることで、果物は甘くやわらかくなることがあります。こうした作業を追熟といいます。

ただし、追熟する果物もあれば、追熟しない果物もあります。
なぜこのような違いがあるのでしょうか?


まずは、植物が果物を実らせる理由から考えてみます。

ある植物は、動物に自らの種子を他の場所に運んでもらうためにおいしく熟した果実を作ります。
果実に引き寄せられ、それを食べた動物が移動先で排泄した場合、その中に食べた果実の種子が含まれているでしょう。
すると、植物はその場所に子孫を残すことができるということになります

ところが、植物の中には樹上でおいしく熟した果実を作らないものもあります。
こうした植物の果物は、樹から離れてから成熟を始めるのです。ひとつひとつの果実の成熟のタイミングをずらすことで、植物はより長い期間、動物に食べられるチャンスを持つということになります。

このようなことは、植物が子孫の分布を広げるための独自の戦略といえます。それぞれの植物は自らの都合にいいように、樹上で果実を成熟させるか、樹から離れてから成熟を始めるかを選択しています。


以上は植物の都合による追熟する・しないの理由ですが、この性質は人間にとって都合のいいこともあります。成熟してすぐにやわからくなってしまう果物は、熟していない状態で採取し輸送中に追熟させることで、店頭に並ぶ前に傷んでしまうことが避けられるのです。


それぞれの果物が追熟するかしないかを知っておくことは、私たちがよりおいしい状態で食べられるかどうかにつながります。


例えば・・
このパイナップル、黄色くなっているけど数日置いたらもっと甘くなるでしょうか?



いいえ、パイナップルは追熟しません。
パイナップルは、樹上で熟し、収穫後に時間をおくとさらに甘くなるということはないのです。このような追熟しない果物は、購入時にほぼ食べ頃なので、冷蔵庫で保存しなるべく早めに食べましょう。


追熟する果物としない果物の例は次のようなものです。

☆追熟しない果物(購入時がほぼ食べ頃)
パイナップル、イチゴ、リンゴ、ブドウ、ビワ、スイカ、日本ナシなど

☆追熟する果物(数日置くともっと甘くなる)
バナナ、キウイ、メロン、カキ、パパイヤ、マンゴー、モモ、グレープフルーツ、ミカン、洋ナシなど


果物の食べごろの見分け方については、また次回ご紹介しようと思います。