ワカメの話の続き―表示について―

先日に引き続き、ワカメのお話・・今回は表示についてご紹介します。


【ワカメの原産地表示】
原産地の表示は、生鮮食品および加工度が低く生鮮食品に近い加工食品にする必要があります。
「生鮮食品に近い加工食品」は20食品群が定められており、この中に乾燥ワカメと塩蔵ワカメも含まれています。他には緑茶やもち、こんにゃくなどがあります。
これらについては、重量が50%以上を占める原材料について、その原産地を表示しなくてはいけません。

ということで、生ワカメはもちろん、乾燥ワカメと塩蔵ワカメについても、原料となるワカメの原産地を表示することになっています。
国産の場合は「国産」(あるいは水域名や港名、都道府県名、地域名でもOK)、輸入品の場合は原産国名を表示します。現在流通しているワカメの6〜7割は中国産であると言われています。


ワカメの有名な産地として三陸がありますが、三陸産のワカメの種苗を他の水域に持ち込んで育てることがあります。
この場合、原産地は持ち込まれた先の水域となりますが、商品に「三陸」と表示することは可能です。ただし、「三陸」と混同した誤認にならないように、「三陸種」の記載と同程度に目立つように「原そう・○○産」と書く必要があります。(「産」と「種」の違い・・ちょっとややこしいですが、チェックしてみてください。)


【ワカメの天然と養殖】
ワカメには天然のものと養殖のものがあります。
以前は天然のものの方が多かったのですが、1960年後半に養殖技術が確立されて以降、養殖のものの方が多くなってきました。

水産物は養殖のものは、その旨を表示する必要がありますが、ワカメの「養殖」表示を見たことがありますか?
実は、ワカメはカキ(*1)と同様、育成の間は海水中のプランクトンを摂取し、人工的に餌を与えられることがありません。
表示ルール上での「養殖」とは、給餌されることなので、ワカメは養殖であっても「養殖」と表示しなくてもよいのです。
*1:カキの養殖についてはこちらをご覧ください。

ただし、養殖と表示しなくてもいい=天然と表示できるというわけではありません。本当の天然のワカメならば「天然」と表示できますが、そうではない場合は「天然」の表示をしてはいけません。


【塩蔵ワカメ固有の表示ルール】
塩蔵ワカメは、生ワカメあるいは乾燥ワカメを水で戻したものに塩を加えて脱水したものです。ワカメの周りに食塩がたくさん付いた状態で売られているため、調理時には塩抜きして使います。

こうした特徴があるため、塩蔵ワカメには固有の表示ルールがあります(*2)。それは、食塩含有率(%)と使用方法(「塩抜きする」旨)の表示です。ただし、食塩含有率については、それが40%以下である場合は表示をする必要がありません。
*2:塩蔵ワカメの品質表示基準はこちらをご覧ください。



先日書いたように、塩蔵ワカメでも塩抜きをすれば塩分濃度は生ワカメと同じくらいになりますが、ワカメの周りにたくさんの食塩が付いていると、内容量に対して、本当のワカメの部分(つまり可食部)が少なくなってしまうのです。