野菜の皮は食べられる?

ニンジンの皮のきんぴらやダイコンの葉のお味噌汁など、普通ならば棄てる部分を料理に活用する人が増えているようです。
だけど、普通は食べない部分には農薬がたくさん残っているのではないかと不安に思うこともあるかもしれません。


簡潔にいえば・・
通常、野菜の残留農薬基準は「皮ごと・洗う前」の状態を基本として決められているので、野菜の皮も中身と同様、安心して食べることができます。


残留農薬基準については以前も書きましたが、日本では農薬の登録時に、農薬としての有効性に関するものをはじめ、数々の資料を提出しなければなりません。この中には動物を用いた毒性試験のデータもあり、これを用いてヒトへの安全性を審議し、残留農薬基準が定められます。

また、ひとつ知ってほしいことは、残留農薬基準は「ヒトが一生涯に渡って毎日摂取しても健康に影響がない量(ADI)」をもとにして決められているうえ、広い安全域をとっているということです。したがって、残留農薬基準値を超えた野菜を食べたからといってただちに健康に影響がでることはありません。


ニンジンもダイコンも皮ごとの状態を基本にして残留農薬基準値が決められます。このことは果物にもいえることです。皮を食べることなどないはずのバナナやパイナップルでさえも、そうなのです。
また、ダイコンの葉は地上部にあることもあり、農薬が多くついているイメージがあるかもしれませんが、葉も地下部と同様に基準値の対象となっているため、こちらも安全です。


実際に残留基準が守られているかどうかは、全国の地方公共団体や検疫所で定期的な抜き取り検査を行い監視されています(国産品、輸入品ともに)。この抜き取り検査においても、野菜や果物は通常「皮ごと・洗う前」の状態で調べられています。
ちなみに、平成16年度の抜き取り検査においては、調べた約244万件中、農薬が検出されたものは0.2%、残留基準値を超えていたものは0.01%という極めて低い値でした(*)。
*詳しくはこちらを見てください。


ということで・・
野菜や果物の皮の残留農薬を心配する必要はありませんが、泥やゴミがついていることもあるので表面をさっと水洗いするといいでしょう(当たり前といえば当たり前ですが)。
皮にも栄養素が含まれていますし、意外なおいしさがあるので、これらをあますことなく食べられるようなレシピを考えてみてはいかがでしょうか。



写真. レモンの皮には香り成分がたくさん含まれている