そば好きによるそばの話(十割か二八か)

暑くなってきて、そばがおいしい季節になりました!(寒いときは寒いときでおいしいですが・・)



そば屋ののれんに「十割そば」と書いてあることがありますが、これはどういう意味か知っていますか?
読んで字のごとく・・なのですが、そばの十割(つまり100%)がそば粉からできているということです。


そばの実は、約80%がでんぷんで14%がたんぱく質です。
小麦粉のたんぱく質は水を加えて練っていくと、粘着性と弾力性をもったグルテンという構造を形成します(*)。うどんやパンの生地は、このグルテンのお陰でまとまります。
グルテンについてはこちらを見てください。


一方で、そば粉はグルテンを形成しません。そば粉は水を加えて練ったとしても、ぼそぼそとしてしまい、まとめるのは難しいのです。
そのため、そばを打つときにはそば粉だけでなく、小麦粉を10〜90%加えることがほとんどです。よく耳にする「二八そば」は、小麦粉2割そば粉8割で作ったそばのことなのです。

ちなみに、加工食品の原材料表示は、重量の割合が多い順に記載されるので、乾麺や生麺の表示において、そば粉より小麦粉が先に書かれていれば、小麦粉の方が多く使われているということになります。


では、十割そばはどのようにして作っているのでしょうか。
そば粉はグルテンこそ形成しませんが、粘りのある成分(グロブリン)は少し含まれます。グロブリンは水を吸うと粘着性が出るため、十割そばはこのわずかな成分をつなぎとして生地をまとめているのです。このとき、グロブリンは塩水に溶けてしまうので、塩は加えません。

十割そばは打つのが難しく、出すお店は多くありません。そうしたことから、希少性があっておいしそうなイメージがあるかもしれませんが、好みは人それぞれのようです。小麦粉が入っている方がおいしいという人もいます。


十割そばは噛みごたえがあり、小麦粉が入っているそばはもう少しやわらかくのど越しがよいという感じでしょうか。個人的には普段は後者、たまには十割そばでそばの噛みごたえを楽しむ・・というのが理想です。
みなさんはどちらがお好みですか?