Q&A「冷凍コーンと缶詰コーンはどちらが優れている?」

普段メールやツイッターなどで食の安全に関するご質問をいただくことがあります(*1)。
ご質問者には別個にお返ししていますが、せっかくですのでこちらでもご紹介していきたいと思います。
*1:メール info@skk-inc.co.jp, ツイッターID seikatukankyou


☆冷凍コーンと缶詰コーンはどちらが優れている?
冷凍コーンと缶詰コーンについて、栄養の面から、製造工程の面から、どちらが優れているのかを考えてみます。

【栄養について】
五訂日本食品標準成分表によると、エネルギーや炭水化物、脂質などは、冷凍コーンと缶詰コーンでほとんど一緒です。
缶詰コーンの方が多い成分にはナトリウムがあります。ナトリウムは冷凍コーン100gあたり1mgなのに対して缶詰コーンでは210mgです。なぜこんなに違うのかというと、缶詰コーンは普通、食塩などで味付けされているからです。
冷凍コーンの方が多い成分もあります。例えば、カリウムマグネシウム、リン、葉酸などです(下表参照)。


表.冷凍コーンと缶詰コーンの100gあたり栄養成分含有量の比較

ナトリウム
カリウム
マグネシウム
リン
葉酸
冷凍コーン
1mg 260mg 24mg84mg66mg
缶詰コーン
210mg130mg 13mg40mg18mg


<参考>
栄養成分はあれもこれも摂らなくちゃ・・という気持ちはありますが、実際の摂取状況をごく大まかに言うと次のようになっています。
ナトリウムは食塩の摂り過ぎにより、日本人全体で過剰摂取の傾向にあります。
カリウムは、消費者庁の栄養成分表示検討会で行われた国民健康・栄養調査の再解析で、摂取量が異常に多い対象者を除外してみたところ、目標量に対して足りていない人が多いことが分かりました。(詳しくはこちらをご覧ください。)
マグネシウムは、厚生労働省国民健康・栄養調査の結果によると、成人において推奨量に対して不足気味でした。
また、葉酸は妊婦さんや妊娠を希望する方はプラスアルファとしてサプリメントなどで摂取した方がよいとされ、リンは外食が多い方などは摂り過ぎる傾向があるとされています。

このことから冷凍コーンと缶詰コーンでどちらが優れていると言えるのでしょうか?
栄養成分の量は調理方法によって大きく変わることがあります。また、冷凍コーンはナトリウム量が少ないとはいえ、もともと味付けされていない分、調理の際に調味料を使うことになると思います。このように考えると、最終的に口に入る段階では、どちらが優れていると言いきることは難しいでしょう。
さらに当然のことながら食事はコーン以外の食べ物からも構成されています。食事の全体のバランスがもっとも大切だということも強調しておきます。


【製造工程について】
では、製造工程にはどのような違いがあるのでしょうか?簡単に流れを書くと下のようになります。

●冷凍コーン:
生トウモロコシ→70〜80%ブランチング(火を通すこと)→急速冷凍
●缶詰コーン:
生(あるいは冷凍)トウモロコシ→調味液と共に缶に詰める→密封→加熱殺菌

冷凍コーンは、多くの冷凍野菜と同じように(*2)、70〜80%程度火を通すブランチングという工程を行います。ブランチングによって野菜の酵素の活性を抑え、保存中の変色などを防止できるのです。
ブランチングでは完全に火を通しているわけではないので、冷凍コーンは家庭での調理において電子レンジなりフライパンなりで加熱する必要があります。
*2:エダマメやソラマメなどはブランチングではなく完全に火を通している。

それに対して、缶詰コーンは完全に火が通っているので、缶詰を開けたらそのまま食べられます。サラダなどに便利ですね。
このように製造工程から考えると、冷凍コーンと缶詰コーンのどちらが優れているかは「使い方次第」ということになります。