野菜の緑色を鮮やかに保つ方法

昨日は着色料のことについて書きましたが、今回は緑色の野菜がもともと持っているクロロフィル色素についてご紹介します。

植物の色素には、緑色はクロロフィル、黄色やオレンジ色はカロテノイド、赤色や紫色はアントシアニン、淡黄色はアントキサンチンなど様々なものがあります。この多くは調理によって構造が変化し、変色します。
例えば、ニンジンを加熱すると、赤っぽいオレンジ色が黄色味を帯びた色に変化すると思いますが、これはβカロテン(カロテノイドの一種)の構造が変化するからです。


緑色の野菜も調理によって色の変化が起こります。
例えば、緑色の野菜をさっと湯通しするとより鮮やかな色になりますよね?
この変化も色素の構造の変化による・・という気がしますが、実はこれはクロロフィルとはまったく関係のない現象です。
植物の細胞と細胞の間には細かなガスが存在しており、そのせいで生の状態ではクロロフィルの緑色は濁って見えます。しかし、沸騰水に入れるとガスは急激に膨張し、外に出ていき、緑色が鮮やかに見えるようになるのです。

ただし、加熱しすぎると、クロロフィルの構造が変化し、逆にくすんだ色になるので気をつけてください。
植物組織の温度が50℃以上になると葉緑体は壊れ、葉緑体中にあるクロロフィルが細胞内の酸にさらされます。すると、クロロフィル分子の中心にあるマグネシウム原子が水素と入れ替わり、これにより変色するのです。

ということで、野菜の緑色を鮮やかに保つためには、調理時間を短めにし、酸性にしないようにするということがポイントとなります。

例えば、調理にはアルカリ性の水を使うといいでしょう。
水道水は微アルカリ性なのでこれを使えば問題ありませんが、もし酸性の水の場合は重曹を加えるとアルカリ性になります。また、レモン汁や酢など酸性のものをかける場合は、あらかじめ油などを和えて野菜に保護膜を作っておくとよいでしょう。


普段何気なく行っている調理にも、料理をおいしく見せるポイントがあったのですね!