野菜と果物の違い

皆さんは野菜と果物の違いをご存じですか?そんな当たり前のことを・・と思われるかもしれませんが、意外とはっきりとは答えられないのではないでしょうか。


それもそのはずです。実は、目的に応じてその分類の仕方は変わり、どれにも共通する定義はないようなのです。
例えば、スイカ農林水産省の統計では野菜になっていますが、文部科学省が取りまとめる五訂日本食品標準成分表では果実に分類されています。

農水省の統計は基本的には日本標準商品分類に基づいています(異なる部分もあります)。
日本標準商品分類では、食品は、農産食品、畜産食品、水産食品、農産加工食品、畜産加工食品、水産加工食品、その他の食料品、飲料・氷およびたばこの八つに分けられています。
農産食品に含まれる野菜や果実は、さらに次のように分かれています。


●野菜
根菜類、葉茎菜類果菜類、香辛野菜およびつまもの類、カット野菜、きのこ類、山菜類、果実的野菜、その他の野菜

一般的な感覚から言うと意外な感じのするものは、「果実的野菜」として野菜に分類されているイチゴ、メロン、スイカです。また、「香辛野菜およびつまもの類」にはユズが含まれますが、これも一般的にはかんきつ類として果物のイメージが強いかと思います。


●果実
かんきつ類、仁果類(かんきつ類を除く)、核果類、しょう果類(いちごを除く)、穀果類、熱帯性および亜熱帯性果実、その他の果実

こちらで意外な感じのするものは、「穀果類」として果実に分類されているクリやギンナンでしょうか。
そして、気になるのは、「熱帯性および亜熱帯性果実」にある「ポポー」。ポポーは、北アメリカ原産の甘くて香りの強い果物らしいのですが、ドリアンでさえ個別項目がないのになぜこれが・・。食べたことのある方はいますか?


こうした分類を基本としながら、農水省は生産と出荷の統計をとる上で、果実を木本性の永年作物である果樹であることとしています。なので、日本標準商品分類で野菜に分類されているユズは、農水省の統計上では果実になっていると思います。


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一方で、五訂増補日本食品標準成分表では、掲載されている食品は次の食品群に分けられています。
穀類、いもおよびでん粉類、砂糖および甘味類、豆類、種実類、野菜類、果実類、きのこ類、藻類、魚介類、肉類、卵類、乳類、油脂類、菓子類、し好飲料類、調味料および香辛料類、調理加工食品類


日本食品標準成分表の性質として「学校給食、病院給食等の給食管理、食事制限、治療食等の栄養指導面はもとより(中略)一般家庭における日常生活面において広く利用されている。」と書かれているように、これは国民に広く使われることを想定され作られています。
そのため、農水省の統計などより一般的な感覚に近いように食品が分類されているようです。イチゴ、メロン、スイカ、ユズは果実類に、クリやギンナンは種実類になっています。(ちなみに、ポポーは掲載されていませんでした。)


スーパーではどのように陳列されているでしょうか?野菜と果物の分類について少し考えながら買い物をすると楽しいかもしれません。