世界のもち

もちといえば正月のお雑煮のイメージが強いかと思いますが、日本以外の国でも食べられています。今回はアジアの三つの国のもちをご紹介したいと思います!


●中国
中国でいう「餅(ビン)」は、小麦粉で作った料理を指します。例えば、北京ダックを包む薄いクレープ状の春餅(チュンピン)があります。
麺は餅を手で引きのばして細長くしたものから始まったそうです。

このように日本人のイメージとは少し違う中国の餅ですが、ゴマ団子の皮部分は日本のもちと近い食感があるのではないでしょうか。
もち状の皮であんこを包みゴマをまぶして揚げたゴマ団子は、中国語では芝麻球(ツーマーチュウ)といいます。こちらの皮部分は小麦粉ではなく白玉粉を使っているのです。白玉粉については、次の「日本」の項目で説明したいと思います。


●日本
日本のもちは、蒸したもち米をついて作ります。
30分ほどつくと、もち米のでんぷんである分岐性のアミロペクチン分子が互いに絡み合い、しっかりとした構造になります。

中国でゴマ団子などに使われる白玉粉は、白玉団子などの和菓子にもよく使われています。
白玉粉の原料はもち米です。もち米を水でさらしながら挽き、水分を取り除いて乾燥させたものです。
白玉粉を使ったお団子は、粉に水を足しながら練り、耳たぶくらいの硬さになったら、丸め、ゆでるというやり方で作ります。

また、白玉粉に似ているものに上新粉があります。
こちらも和菓子(みたらし団子や柏餅など)でよく使われますが、上新粉の原料はもち米ではなくうるち米です。
上新粉うるち米(普段ごはんとして食べる米)を砕いて粉状にしたものです。
うるち米には、アミロペクチンのほかにアミロースというでんぷんが含まれています。アミロースは直線状の分子であるため、アミロペクチンとは異なり互いに絡み合いにくいのです。そのため、うるち米をついたりこねたりしても、もちのように伸びる食感はあまりでません。

上新粉を使ったお団子は、粉にお湯を加えてよく練り、丸めて蒸し上げるというやり方で作ります。白玉粉で作ったものよりも、コシが強く歯ごたえのある食感になります。



柏餅はうるち米で作ります。


●韓国
韓国には、「トッ」といわれるもちがあります。よく「トック」と言われますが、実際はクの部分はほとんど発音しないそうです。
トッは細長い円柱状の形をしており、これを甘辛く炒めたトッポギという料理は、日本でも人気のある韓国料理のひとつではないでしょうか。(トッポギのポギは炒めるという意味です。)

トッの原料はうるち米です。粉状にしたうるち米を蒸してつき、細長く伸ばして作ります。原料が同じということもあり、トッは柏餅のもち部分と似たような食感があります。


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ほかにも、「もちもち」した食べ物は世界各地にありそうですね。「もちもち」した食べ物(ポン・デ・ケージョカヌレなど)は日本で流行ることが多いようですが、こうした食感は日本人が特に好むものなのでしょうか。