ナチュラルチーズとプロセスチーズ

今回はチーズのお話です。

チーズの誕生には諸説ありますが、ある言い伝えでは紀元前アラビアが舞台です。
商人が羊の胃袋に乳を入れたものを携えて旅に出ました。一日の終わりに乳を飲もうと胃袋を開けたら、水のような液体と白い塊になっていました。そして、その塊を食べてみるとおいしかった・・これがチーズの始まりだと言われています。
なぜこの時、羊の胃袋の中でチーズができていたのでしょうか。
それは、胃袋の酵素と乳が反応したからです。白い塊はカード、分離した液体はホエーと呼ばれます。その後、カードを塩漬けし熟成させるという方法に発展し、ヨーロッパへとチーズ作りが広がっていきました。


チーズは大きく分けると、プロセスチーズとナチュラルチーズがあります。

ナチュラルチーズ
牛や羊などの乳を加熱殺菌したあと、微生物(乳酸菌やカビ)と凝乳酵素を加え固めます。そしてできたカードを型に詰め水分を出していきます。そのあと、カードを塩水に漬け発酵熟成させます。乳酸菌や酵素はできあがったチーズの中でも働き続けています。
原料とする乳の種類や用いる微生物、生産地の環境などによって風味が変わるので多種多様なナチュラルチーズが存在しています。世界には800種類以上もあるそうです。

チーズ作りに使う乳酸菌は乳のたんぱく質を分解して風味を出す役割があり、カビはカビを利用したチーズを作る際に乳酸菌と共に用いられます。
「食品につくカビ」といえば有害なものもありますが、チーズ作りに使うカビは食べても害がないばかりではなく、たんぱく質や脂肪を分解して独特の風味を作りだします。
青カビを利用したチーズにはゴルゴンゾーラやロックフォート、スティルトン、白カビを利用したものにはカマンベールやブリーなどがあります。
青カビの場合はチーズの内部に混ぜ込まれます。青カビはチーズの脂肪分を代謝し、独特の風味を生成します。
それに対して白カビはチーズの表面に吹き付けられます。こちらはたんぱく質を分解してチーズの熟成を進めます。

☆プロセスチーズ
ナチュラルチーズをさらに加工して作るのがプロセスチーズです。
プロセスチーズとは、ナチュラルチーズ(一種類あるいは数種類)を砕いて混ぜ、乳化剤や調味料などとともに加熱し、成型したものです。
加熱することで微生物の発酵が止まるので、ナチュラルチーズに比べて風味が安定し、保存性が高くなるというメリットがあります。チーズは発酵熟成すればするほどおいしくなるというわけではないのです。
妊婦さんや高齢者の方などは、リステリア菌による食中毒予防のために(*)、ナチュラルチーズよりもプロセスチーズを選んだ方がいいでしょう。
*詳しくはこちらをご覧ください。


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今回はカマンベールを使ってオードブルを作ってみました。



ワインに合いそうです。